情報デザインからコミュニティーの構築を考える
情報デザイン国際会議・ビジョンプラス7
Tokyo, 1999, october 07 - 09


10 07 am <コンセプト: 情報とストラテジー>
大隅規由、NTT-Communications、米国

電子商取引きにおける付加価値サービスのデザイン

エレクトロニックコマースやマルチメディア教育を考える際は、バイヤーとセラーのマッチメーキングや生徒間の協調作業等コミュニティー形成の仕掛けや情報発信利用の仕掛けを効果的にデザインすることが重要である。
インターネットは、ネットワークであるが、従来からのネットワークの特性であるpoint-to-pointのコミュニケーションやリモートアクセスを可能にするだけではない。情報提供という観点で言うと、分散環境での巨大な情報レポジトリーであり、また、その裏返しとして、ユーザーが望む情報にいち早く到達するためのナビゲーションの仕掛けを提供する。コミュニケーションの観点からするとmany-to-one-to-manyの仕掛けでNxNのコミュニケーションを可能とする。もちろん、これ以外にも色々な特性が考えられるが、コミュニティー形成や情報発信利用の仕掛けをデザインする際にもこのような特性を考慮に入れてデザインすると優れたビジネスサイトや教育サイトを構築することが可能となると思われる。

たとえば、business-to-consumerのEC分野では、OnsaleやAmazon等のAuctionサイトが、新しいコマースのチャネルとして成長している。Onsaleの場合は、供給側にとっては流通段階で物理的に限られた棚スペースを消費することなく過剰インベントリー等の品物を売るチャネルを提供している。消費者側にとっては、Auctionであるため、欲しいものを自分がビッドした値段で、大幅なディスカウントで買える可能性があるし、また、エンターテインメント性がある。自分の購入したいものに関して、情報に基づく意思決定のメカニズムShoppingを提供するものである。
インターネットを利用したコミュニティーの形成と市場経済のメカニズムを実現するものである。

さらに、この売り手と買い手のトランズアクションの信頼性を保証するものとして、person-to-person escrow等の第3者が物と金の交換すなわち取引の成立をマネージするという仕掛けもできている。business-to-businessのEC分野では、サプライチェーンや調達等のマーケットやシステムが成長している。既存のサプライチェーンを対象にすると、例えばEC化されていたとしても、現状の問題点は、コミュニケーションの構造にある。例えば、サプライヤーやバイヤー等のノードが、それぞれ個別にリンクされてコマースがおこなわれており、ネットワーク的には非効率的でマネージメントのしにくいものになっている。この問題点は、センターにバリューアデッドサービスを配置し、これを一種のEC交換機としてトレーディングパートナーを結合するデザインが優れている。センターのサービスは、カタログの管理、変更管理、パートナー管理、認証管理、ペイメント、ロジスティックス等のビジネスサービスであり、一言で言うとトレーディングネットワークのマネージメントである。センターで管理するカタログにおいては、バイヤーセントリックなユーザ経験を実現するため、取引のある複数のサプライヤーカタログを標準化、統合化し、一つのユーザーインタフェースで、カスタマイズされたマスターカタログを効率的に検索する環境が作られ始めている。

これらは、インタットのmany-to-one-to-manyのコミュニケーション特性や情報のレポジトリーとナビゲーションの特性を効果的に使って、コミュニティーのコミュニケーションやトランズアクションを促進している好例であり、今後のネットワークを使ったビジネスや教育の仕掛けをデザインする上で、参考になると思われる。




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