情報デザインからコミュニティーの構築を考える
情報デザイン国際会議・ビジョンプラス7
Tokyo, 1999, october 07 - 09


10 09 pm <関係のマッピング>
片岡勝、市民銀行、日本

プレスオールターナティブ(PA)の目指す市民バンク

市民事業とは社会的に必要とされるサービスを継続するために事業として行うことだ。社会の枠組みが大きく変わろうとする現在、生産から生活へ、効率から公正へ、競争から共生へと社会の価値が変わりつつある。しかし、産業構造や行政の仕組みはそれに対応するものになっていない。その欠落している社会サービスを必要だと気づいたひとが顔の見える範囲で始める。具体的には、老人給食サービス、安全に拘ったレストラン、障害者の送迎サービス、廃食油からの石鹸作り工場、南北問題を解決するための第3世界ショップなどが代表的な市民事業だ。

それらの事業による雇用創出は、10万人規模の町で400人。日本全国に広げれば50万人にもなる。
そこでは効率や競争でボロボロになってしまう働き方ではなく、利益より働きがいというより高い人間としての欲求が追及される。そういう新しい社会サービスの担い手によって、ポスト産業社会が生まれようとしている。「プレスオールターナティブPA」は通信社としてスタートした。NPOの実践例を社会に提示することを通じて社会の変化を加速したい。従来の構造にしがみつく日本社会は高齢化、国際化、情報化の波から取り残される。急がれる。

10年前、既存の社会システムとは違う新しい第3のオールターナティブな社会システムを、世界に発信していこうと「プレスオールターナティブニュース」を発刊したのが始まりだ。その後、自らそれらを次々と事業化する。最初に事業化したのが「第3世界ショップ」。発展途上国との対等な関係作りと継続的な仕事作りを目指し、途上国から品物を産直するフェアートレードだ。社会に貢献したいと考える人たちが、私たちの周りに集まってきた。しかし、生きがいのある働き方を求め起業しようとしても、既存の金融からは融資を受けることが難しいことを知り、社会性のある事業に融資をする市民バンクを設立した。中小企業経営者が出資してて環境クラブを設立。環境事業の一環として、市民バンクに寄せられた無利息の賛同貯金により子供たちにもわかる環境教育として酸性雨測定などを行うエコ研究室を設置した。

また、女性が起業をする場合の事業ノウハウが不足していることを痛感し、起業の側面的支援をするためにWWB/ジャパンを設立し、「女性のためのビジネススクール」をスタートさせた。

最近では学生の起業に出資するエンジェルバンクをバーチャル・ベンチャーなどが協力して始めた。
プレスオールターナティブはこれらをネットワークしグループとして、時代が必要とする社会サービスを事業として成り立つよう実験し成功させてきた。PAはこれらのノウハウを世界に役立たせたい、と思う。




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